松城跡及び東富松遺跡の調査の結果、富松城は、堀が掘られた15世紀前半頃から堀が埋め戻されて廃城となる16世紀後半までの約200年近く城として機能していたと考えられます。
発掘調査で見つかった遺構や遺物から、15世紀前半から富松城が文献に現れる15世紀後半までをT期、それから富松城が廃城となる16世紀後半までを富松城U期として富松城の変遷を考えてみます。

富松城T期(15世紀前半から15世紀後半まで)の主な遺構と遺物

・B地点・C地点(東富松遺跡B第3・5次調査)
(主な遺構)
井戸: 井戸は7基見つかりました。
ほとんどは地山(伊丹礫層)を垂直に堀り込んだ円形の素掘りの井戸ですが、1基だけ石を丁寧に積み上げた石積みの井戸があります。
土坑: 土坑は16基見つかりました。
地山を斜めに掘り込んだ円形ものが多く、埋め土の中から土器・瓦・木製品などが出土しています。
堀: 従来想定されていた富松城の範囲外で、東西方向の長い堀が見つかりました。
堀の規模はB地点では幅約4m、深さは約1.5mでした。
この堀は、富松城の北を限る堀と考えられ、C地点の北部を東西方向に約25m続き、調査区の東端で南東方向に約20m下ります。
さらに、B地点の北部を東に約45m延び、そこで富松城の東を限る堀跡にいたります。
東を限る堀の詳細はわかりませんが、南東方向に延びていると思われます。

(主な遺物)
土器類: 土師皿・白磁椀・白磁皿・青磁椀・擂鉢・甕
瓦類: 軒丸瓦・軒平瓦・丸瓦・平瓦
木製品: 漆椀・箸・曲物・下駄・脚・つちのこ
その他: 土錘・砥石
B地点発掘作業風景
B地点の堀(発掘作業風景)
素堀りの井戸
素堀りの井戸(富松城T期)


 
石積みの井戸 B地点の土抗(遺物出土状況)
石で丁寧に積み上げた井戸(富松城T期) B地点の土坑4遺物出土状況

富松城U期(16世紀前半から16世紀後半まで)の主な遺構と遺物

・D地点(富松城跡第3次調査)
(主な遺構)
井戸: 1基見つかりました。
直径約1.5m、深さ約1.5mの井戸で、断面は漏斗形をしています。

(主な遺物)
土器類: 土師皿・白磁椀・白磁皿
瓦類: 平瓦・鬼瓦
木製品:
その他: 中国銭・用途不明石製品
D地点の溝と井戸
D地点の溝1・井戸
D地点から出土した白磁皿と中国銭
D地点から出土した白磁皿・中国銭

↓閉じるボタンです。